日韓アイドル右往左往

こっちの沼で待ってます

恋のクレイジーロード@アップリンク渋谷

スクリーンに映っているシャベルを振り回すあの男は、私ではないか

 見た目こそドス黒い隈と濃い髭の女装男だけど、人を好きになり、拒絶され、泣いても喚いても相手や世界は自分にはどうにも変えられず、敗れて道端にポイされる、滑稽で惨めで狂ったような姿はいつかの自分を見せられてるように感じました。 田舎の一本道を恐怖のクレイジーロードに変えた殺人鬼は、恋の始まりから終わりという割と身近なテーマをものすごいインパクトとスピードで見せてくれたんだと思います。だからそんな感情移入しやすいキャラクターのあの涙が台本には無かったと聞いたときは、それこそ解釈違いでは!?と思ったし、あるべくしてある涙なんだと主張したいです。

 また、世の中は宙也とすみれのようにうまくピースがはまる者同士ばかりじゃなくて、女装男のように勝手にカッと熱く盛り上がって醜態を晒す場合が恋愛やその他諸々のほとんどなのだから、少々のことは気にしなくていいかもしれないと思えました。すると「赤信号でもレッツラゴーや」はある意味背中を押してくれるようなエールに聞こえます。 あんな風に不躾なほどためらいなく「名前なんていうん?」って聞けたらいいのになぁ。

 久々のブログなのにここまで女装男ばかりで推しについて語れてないんですが、初見の恋クレで見事に女装男に持っていかれ、女装男目線でしか宙也を観れていないので、宙也に関してはただひたすら可愛くて可哀想で羨ましいんですよね。すみれをチラチラ気にする不幸な小動物みたいな姿が特に良かった。でも女装男は宙也の何に目を奪われてあんなに惚れ込んだんだろう。彼と推しポイントを談義してみたい。

舞台挨拶andサイン会

 銀色の学ランを脱いで登場する映画仕事では、いつもよりさらにお行儀よくおとなしい好青年で、芝居を褒められれば青くなったり縮こまったりする一方、 先輩方に果敢に突っ込むトーク仕事もできて、どんな関係者各位やお客さんへもオススメしたい「名古屋から来たボイメンの田中俊介です。

 グッズ購入者は登壇者全員のサインがもらえるというので、舞台挨拶後にパンフレットと可愛いTシャツと缶バッジを手に入れ、 売り場カウンター前のお客さん用ベンチに座ってパンフを開いていました。すると、カウンターとベンチの間の人が一人通れる隙間に 前触れなく登壇者がぞろぞろ入ってきて止まり、そこで次の舞台挨拶まで待機することに気づきました。 パンフから顔をあげると顎が目に入って「田中俊介、下から見るか?横から見るか?」を地でいく現象が起こり、 あっけにとられ逃げ場を失ったベンチ勢へ向けられたドヤ顔に、隣のお客さんはウフフと笑っていたけれど、 私は酷暑とは無関係の脇汗をかくことになりました。パンフの文字を目で追うふりをしながらパンフの下の隙間から見えるオシャレなスニーカーをガン見して、 「最近忙しい?」等の待機中の会話に耳をすませました。

 サイン会も同じ極狭通路で行われ、8人がぎゅうぎゅうに立って順々にサインをしていく中を お客さんがじりじり前進するスタイルでした。進みがゆっくりなので俊さんの前で待機する時間が出来てしまい、 困ったぞと思いながら押し黙って銀色のペンをカタカタ振る推しを眺めました。 他の登壇者へは「珍しいフォーメーションのサイン会ですよね」や「この映画東京に持ってきてくださってありがとうございます」等の 言葉が出るのに、そうはいかないのがただ一人推しでした。

 

 コント番組で見られるアクの強いキャラも、MVで見られる繊細な役どころも、映画で本読みから悩んで悩んで集中して作り上げた役も、俊さんの芝居で全く同じものは一つもありません。その多様さが、新作が告知されるたびにワクワクする「今度はどんな役なんだろう!?」という期待に繋がっていると思います。役づくりで行われるという「自分の中の経験や思いを引っ張り出す」作業で、もしもこの中田宙也という役が参考にされることがあるなら、またどこか別作品の違う役柄で、宙也に会えるのが楽しみです。